1998年に
アンドリュー・ファイアー等は
線虫の一種である
モデル生物の
Caenorhabditis elegans (
C. elegans)を用いて、センス鎖とアンチセンス鎖の混合RNAが、それぞれの単独RNAより大きな阻害効果があることを示した (
[外部リンク] Fire et al., 1998)。この効果は、標的mRNAとの
モル比などから単純にアンチセンス鎖がmRNAに1:1で張り付いて阻害するのではなく、何らかの増幅過程を含むか、
酵素的活性をもつことが予想された。その後、RNase IIIの一種であるDicerによって、長い二本鎖RNAが、
siRNA(small interfering RNA)と呼ばれる21-23 ntの短い3'突出型二本鎖RNAに切断されること、siRNAといくつかの蛋白質から成るRNA蛋白質複合体であるRISC複合体が再利用されながら相補的な配列を持つmRNAを分解することがわかってきた。
2001年には
哺乳類の
細胞でsiRNAを導入することで、それまで問題となってきた二本鎖RNA依存性
プロテインキナーゼの反応を回避することができた。これにより、遺伝子治療応用への期待が高まっている。RNAi機構は
酵母から
ヒトに至るまで多くの生物種で保存されている。その生物学的な意義としては
ウイルスなどに対する防御機構として
進化してきたという仮説が提唱されている。さらに、染色体再構成などにも関わる可能性が示され、またstRNAなど作用機構の一部を共有する
miRNAが
発生過程の遺伝子発現制御を行っていることなどが明らかとなり、小分子RNAが果たす機能に注目が集まるきっかけの一つとなった。また、酵母を用いた研究では、
染色体の
セントロメアや
テロメアの
ヘテロクロマチン形成にRNAiの機構が関与していることが報告されている。