自由エネルギー wikipedia|無料辞書
自由エネルギー(じゆう-、free energy)とは、
熱力学における
状態量の1つである。熱力学第一法則から導いた式によりエネルギーの収支を、第二法則から得た式によりある過程の進行の自発性を扱えるので、十分な物理量を得るという意味でどんな状況をも物理および化学において取り扱える。ただし、実際の応用において便利な式とは、
外界の(エントロピーなどの)変化まで計算・計測しなければ使えない式ではない。通常、関心がもたれるのは系で何が起きたかであり、外界の変化は重要ではない。自由エネルギーは
ある系内における熱力学的関数の変化による平衡と自発性の指標である。
等温等積過程の自由エネルギーはヘルムホルツの自由エネルギー(Helmholtz free energy)と呼ばれ、等温等圧過程の自由エネルギーはギブズの自由エネルギー(Gibbs free energy)と呼ばれる。通常、ヘルムホルツ自由エネルギーはで表記され、ギブズ自由エネルギーはで表記される。体積変化が系外に為す仕事の分だけ異なるので両者の間にはの関係にある。
自由エネルギーは
1882年に
ヘルマン・フォン・ヘルムホルツが提唱した熱力学上の概念で、呼称は彼の命名による。一方、等温等圧過程の自由エネルギーと化学ポテンシャルとの研究は
ウィラード・ギブズにより理論展開されたので、等温等積過程をヘルムホルツ自由エネルギーと等温等圧過程をギブズ自由エネルギーと呼び分ける。
熱力学第二法則より、系は自由エネルギーが減少する方向に進行する。また、閉じた系における熱平衡条件は自由エネルギーが極小値をとることである。
◆ ヘルムホルツの自由エネルギー
:F = U - TS
と定義される。
◇プロット
ある温度Tにおいて外界と熱的平衡にある系を考える。系でひとつの過程が起こった結果、無限小の熱量dqが系から外界へ伝達されたとする。当然、-dqsys = dqsurrとなる。
熱力学第二法則から
:
:
:
等積過程ならば、dqsys = dUsys[熱力学第一法則 ΔU = q + w に仕事 w = q - PΔV を代入すると ΔU = q - PΔV となり、等積のとき、すなわちΔV = 0のとき、 ΔU = q となる。]であり、
:
両辺に -T をかけて
:
大抵の場合、ヘルムホルツエネルギーについて議論するとき、系についてなので、その際は下つき文字sysを省略することが多い。
◇微分
等温等積の条件では、自発変化はヘルムホルツエネルギーが減少する方向へ進む。また熱平衡条件はヘルムホルツエネルギーが極小値をとることである。
として定義される。
◆ ギブズの自由エネルギー
ギブズ自由エネルギー(
通常
G と表記され、等温等圧条件下で
仕事として取り出し可能なエネルギー量である。
:ギブズ自由エネルギーは自発的に減少しようとする。即ち、
Gの変化が負であれば化学反応は自発的に起こる。さらに、ギブスエネルギーが極小の一定値を取ることは系が
平衡状態にあることに等しい。
これは、ヘルムホルツの自由エネルギーに関する
:ヘルムホルツの自由エネルギーは自発的に減少しようとする。即ち、
Fの変化が負であれば化学反応は自発的に起こる。さらに、ヘルムホルツの自由エネルギーが極小の一定値を取ることは系が
平衡状態にあることに等しい。
と対応している。違いは、系内が等温条件のみであるか、あるいは等温等圧条件であるかである。
の式を満たす。ここで
◇ 平衡定数との関係
化学反応におけるギブズ自由エネルギー変化はエンタルピー変化およびエントロピー変化と以下の関係がある。
:
ギブズ自由エネルギー変化と
平衡定数Kとの間には以下のような関係がある。ここで
R は
気体定数である。
:
:
標準状態(25℃, 298.15K, 10
5Pa)においては以下のようになる。
:
:
電池ではギブズエネルギー変化が負の値を取っている。
◆ ルジャンドル変換
:
:
:
:
である。