空気清浄機 wikipedia|無料辞書
空気清浄機(くうきせいじょうき、
英語 home air cleaner)とは、
空気中に
浮遊する目に見えない細かい
粒子(
花粉や
ハウスダスト等)や
臭い(
ペットや調理時等の臭い等)を取り除くことを目的としている空調
家電製品である。空気清浄器と表記することもある。
空気中の微粒子や粉塵を除去することを主な目的とするのものは
集塵機、においの除去を主な目的とするものは
脱臭機と呼び分けることが多い。一般にいわれる空気清浄機は、微粒子とにおいの両方をバランスよくきれいにすることを目的としたものといえる。
ここでは主に家電としての空気清浄機について述べる。
◆ 歴史と概説
空気清浄機の歴史は19世紀はじめの
産業革命当時の
イギリスから始まったという。当時のエネルギー源は主に
石炭であり、それを燃やすことによって出る煤煙の除去を目的として作られたと伝えられる。
それまで、空気を清浄にすることは換気によっていたが、清浄な空気を取り入れるべき場所も汚染されはじめたため、能動的に空中の汚染物質を取り除く必要に迫られたということである。
一方、日本における初の空気清浄機(フィルターを備えたもの)は1962年ごろに出始めたと伝えられている。ときあたかも
高度経済成長期の真っ只中であり、
四日市喘息などの
大気汚染による
公害が社会問題となる前夜である。これはイギリスにおける
ロンドンスモッグ事件の前夜ともいえる時期に空気清浄機が出てきたことと符合する。
もちろん現在でもそうしたいわゆる大気汚染物質の除去のために用いられることも多いが、
1980年ごろからは、これもやはり社会問題化した
花粉症のために使われることが多くなった(高気密化した住宅における喫煙等の問題もある)。しかし、近年のように多くの人が使うようになってきたのは、
1990年ごろからである。
これは、花粉症のさらなる社会問題化や、そうしたことにより企業が積極的に宣伝を行いはじめたこととも無関係ではない。実際に過去の製品よりも優良なものが市場に投入されてはきたが、そのいっぽうで、現在ではほとんど効果がないとされるイオン式(後述)の空気清浄機も多く出まわり、コンパクトであることなどさまざまな理由と、その誇大な宣伝に踊らされて多くの市民がそれらを購入し、押入れの肥やしを増やした。
当時はその方式の呼び名も統一されておらず、電気工業会では「空気清浄機にはファン式とイオン式がある」などというように、わかりやすく説明するように広報などを行った。さらに、この装置を使用すると自宅の部屋がクリーンルームのようになる、あるいはシックハウスの原因物質もすべて除去できるなどという、現在では誇大広告としか言えない宣伝もやり放題の時期ではあった。空気清浄機バブルといってよいであろう。
しかし、混乱期の幕は思うより早く閉じた。誇大広告の疑いが濃い宣伝は当局による指導や自粛のためにほとんど姿を消し、ほぼ「誇大広告合戦」といってよいほどの宣伝を繰り返していた企業2社にも、
公正取引委員会より不当表示として排除命令が出された(うち、1社は審判を行ったが、結局訴えは棄却した)。これをきっかけとして、事実上イオン式は市場から消えることになる。
タイミングを合わせるかのように、現在でも主流となっている
HEPAフィルターを用いた高性能なファン式清浄機が一般化し始め、さらに高性能化をねらった
ULPAフィルターのものも出てきはじめた(ただ、これは過剰性能であり、近年ではあまりない)。風量も豊富で、花粉やハウスダスト等の比較的落下しやすいサイズの微粒子の集塵に対しても、実用になるものが増え出した。
さらに
2000年代に入ると、煙草の煙や花粉などだけではなく、カビや雑菌の除菌を目的とした需要が増え出した。「抗菌」のキーワードで語られる衛生ブームに、空気清浄機も乗ることに成功したのである(その少し前からの
マイナスイオンブームの影響もある)。
2003年の空気清浄機の普及率はおよそ23%とされ、これは10年前の2倍以上となっている。ただ、毎年のように前年出荷を上回る成長を続けてきたが、スギ花粉飛散量が著しく少なかった
2004年(2003年度)は前年を下回った。さまざまな需要があるとはいえ、やはり花粉症対策としての需要が大きい証拠といえる。
ここ数年の家庭用空気清浄機の動きとしては、従来の業務用を凌駕するほどの大風量タイプが出始めているのが特筆できる。また、抗菌だけではなく、各種アレルゲンの分解・除去などを行うと称するものも増えており、空調家電というより、さながら健康家電と呼んだほうがいいほどの状況になりつつある。だが、ある関連企業2社が販売を一本化してモデル数を縮小するなどもあり、一時期のような店頭に並びきれないほどの豊富な機種数は整理統合されていく傾向がみられる。
◆ 方式
家電の業界においては、
ファン式と
イオン式というように分類されてきたが、現在ではその性能の低さゆえ大手家電企業はイオン式から撤退している。原理の単純さと製作の容易さから、一時は
オーディオメーカーも作っていたが、
国民生活センターによるテスト等で性能の低さが明らかになり、また、イオン式を販売していた企業の広告が不当表示として排除命令を受けたことが決定打となって、さらなる消費者の買い控えの後押しをしたとみられる。
現在でも残るイオン式空気清浄機は、
通信販売や
インターネット上での販売など、限られた販売方法によって売られていることが多い。家電店ではほとんど見かけない。
現在ではこうした実状に合わない分類はほとんど行われておらず、家電店で販売されるものもほぼ100%がファン式のため、そのフィルターの違いや各種の付加機能を表示して説明を行うことが多い。現状にそくし、かつ一般市民にわかりやすい分類や呼称、また性能表示が求められる。
◇ ファン式
ファン式は現在の主流となっている方式で、
扇風機や
エアコンと同じようにファンによって強制的に空気を吸い込んで、フィルターで濾過し、きれいになった空気を吹き出す方式である。使われるファンは、空気の押し出しに向くプロペラファン(扇風機などのファン)ではなく、吸い込みに適するシロッコファン(天井据付式の換気扇などに使われる)である。クロスフローファンを採用した機種もある。一昔前なら業務用として使われるような風量の豊富なものが多く出てくるようになった。
多くのファン式空気清浄機は、
HEPA(ヘパ)と呼ばれる目の細かい
不織布の
フィルターで微粒子を集塵・濾過し、においについては
活性炭で吸着する方法をとる。なかには、イオン式と同様な原理の電気集塵(多くはプラズマと呼ばれる)を併用しているものがある。放電部分で発生する
プラズマ(低温プラズマ。実体は各種のラジカルである)を消臭や
バクテリア・アレルゲンの分解に用いている機種もある。活性炭ではなく
二酸化チタンなどの
光触媒による消臭を採用している機種や、HEPAよりも目の細かいフィルターである
ULPA(ウルパ)を採用したものもある。
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