染色体凝縮(せんしょくたいぎょうしゅく:chromosome condensation)とは、間期の
細胞核内に分散していた
クロマチンが、
細胞分裂期においてコンパクトな棒状の構造に変換する過程のことをいう。この過程は、分裂後期において
姉妹染色分体が正確に分離するための必須な前段階であり、その欠損は染色体の分離異常、ひいては
ゲノムの不安定化を引き起こす。
例えば、ヒトの2倍体細胞内には22対(22x2)の
常染色体、およびXXあるはXYの
性染色体、計46本の染色体
DNAが存在する。そこに含まれるDNAの全長は約2メートルに達する。DNAはまず
ヌクレオソーム構造に折り畳まれ、さらに30 nmファイバーと呼ばれる構造をとる。間期では、これが直径約10マイクロメートルの
細胞核内に収められている。分裂期にはいると、
核膜が崩壊し、クロマチンは棒状の構造体に変換され、個々の“
染色体“の識別が初めて顕微鏡下で可能となる。元来、染色体とは、この分裂期に観察される凝縮した構造体を指す用語であったが、近年ではその意味するところは広くなっている。
一方、染色体の高次構造についての理解が進んでいないため、染色体凝縮という語の定義も必ずしも明確ではない。上記のように、間期においてDNAは既に
クロマチン構造をとり核内に収納されている。分裂期の染色体凝縮とは、単に長さを縮めるための過程ではなく、ランダムコイル状のクロマチン繊維を棒状の構造体へ組織化する過程と考えたほうがより適切である。さらにこの過程で重要なことは、
複製したDNA間の絡み合いを解くことにより、姉妹染色分体の分離(separation)を容易にすることにある。原理的には、2本の姉妹染色分体への「
分割(resolution)」と個々の染色分体の「
組織化(compaction)」という2つの過程に分けて考えることが可能であるが、これらの過程は同時期にしかも相補いながら進行するため、合わせて染色体凝縮という場合が多い。