文語の上一段活用は「着(き)る」「似(に)る」「煮(に)る」「干(ひ)る」「嚏(ひ)る」「見(み)る」「廻(み)る」「射(い)る」「鋳(い)る」「沃(い)る」「居(ゐ)る」「率(ゐ)る」といった十数語とその複合動詞(「顧(かへり)みる」「率(ひき)ゐる」「用(もち)ゐる」等)しかないが、文語の
上二段活用が口語で上一段活用に合流したため、口語の上一段活用は語数が多い。
言語学から言えば、上一段活用の動詞は
語幹が
母音で終わる
母音語幹動詞である。そのため語幹は「る」の前のイ段母音までとされ、それ以後が
語尾とされる。文語においては語幹母音が
母音交替する
上二段活用が汎用的であったのに対し、語幹母音が母音交替しない例外的な十数語の不規則動詞をまとめたものである。これらの語はすべて語幹が1音節であり、他の1音節で終わる下二段活用やラ行四段活用と同音になるのを避けるために語幹を安定化させたものと考えられる。口語においては二段活用の一段化が起こって、上二段活用は上一段活用になったものであり、この変化によって日本語の動詞の活用はより簡略化された。
ら抜き言葉の候補のひとつ。