ピンク映画 wikipedia|無料辞書
ピンク映画(ピンクえいが)は、日本の
ポルノ映画のうち、大手以外の映画製作会社によって製作・配給された作品のこと。代表的な製作・配給会社としては
新東宝映画、オーピー映画(旧
大蔵映画、
Okura
Pictureより)、
新日本映像(エクセス・フィルム)がある。この他に製作のみを行っている
国映があり、配給は新東宝映画に委託されている。
ピンク映画の傍流として
ゲイ・ポルノと呼ばれる
同性愛者向けのポルノ映画があるが、こちらは同項を参照のこと。
◆概要
日活は60年代も後半に入ると
石原裕次郎、
小林旭の肥満や作品のマンネリのため客足が遠のき、後発のスターも観客動員力がなく経営破綻に陥った。成人映画なら一般映画より一桁少ない制作費でも客入りが見込めると1971年にポルノ専門の会社に転進。
日活ロマンポルノを名乗った。ポルノを嫌った日活の既存のスターはテレビドラマや他社の映画の仕事を求めて辞めていった。一方、既に名を成していた
映画監督らについては、この機に日活を離れた者が多いが、それ以外のスタッフについては、日活に残ってそのままロマンポルノの制作に従事した者も少なくない。
人材・作風などからピンク映画をスケールアップしたものが多い。ロマンポルノは予算が零細企業が作るピンク映画に比べれば潤沢であり、日活社有のスタジオが利用でき、俳優・監督なども事実上の日活専属が多かった事からピンク映画とは様々な面でカラーが異なっていた。ピンク映画業界のスターだった女優や監督など優秀な人材が日活にヘッドハンティングされる事もあり、決して対等・良好な関係とは言えなかった。ただし、1980年代後半以降、諸般の事情からロマンポルノにピンク映画出身の監督が次々に進出するようになり、垣根は取り払われていった。
日本では「ピンク」という色が用いられているが、アメリカでの類似映画は、フィルムを青く着色していたことから「ブルーフィルム」と呼ばれる。
◆起源と歴史
ピンク映画の起源ははっきりとしていない。一般的には、1950-60年代、
テレビの普及で職を奪われた
ニュース映画や
教育映画関係者達が糊口を凌ぐためにお色気をテーマにした短編・中篇映画を制作し、これを同じく衰退しつつあった小規模なニュース映画専門館に供給したのが始まりといわれる。
この頃、ピンク映画という言葉は無く、「お色気映画」などとも呼ばれていたというが、
夕刊紙「
内外タイムス」文化芸能部の記者で、後に映画評論家の故・村井實(村井実)が1963年に
関孝司監督、
沼尻麻奈美主演の映画である「
情欲の洞窟」を取材した際、「おピンク映画」とこれらの作品群を呼ぶ造語を作り、その後「お」が外れてピンク映画という言葉が誕生したといわれる。
当時は文字通り「お色気」に徹した作品であり、現在の過激な性描写には程遠い代物だった。また、作品としての質も決して高くなかった。
しかし、1961年の
新東宝倒産が一つの転機となる。新東宝の経営を追われた大蔵貢が大蔵映画を設立。また、新東宝関西支店の有志が新東宝興業(現在の新東宝映画)を設立してピンク映画界の二大会社が成立する。また、一般の劇映画を経験した監督やスタッフが次々に進出し、
若松孝二監督の様に才能のある人材も次々にピンク映画に参入してきた。特に若松は「若松プロ」を設立し、ピンク映画というよりは一種の芸術作品として問題作を発表し、ピンク映画の価値を高めた。
1980年代前半はピンク映画の最盛期であり、これら制作会社が多数発表する一方で、ゲイ・ポルノ等も制作が開始される。しかし、1980年代後半はアダルトビデオに市場を奪われ衰退、さらにピンク映画に対する映画業界による自主規制などからメジャー系制作会社は次々に撤退。1988年のロマンポルノの撤退も含めて、1990年代には市場が大幅に縮小した。
◆表現の特徴
ピンク映画は文字通り、性描写を第一義とする映画である。しかし、長らく性描写に対する規制が強かった事、監督やスタッフに映画業界関係者が少なからず存在する事、大学や映画専門学校出身の作家(監督、脚本家)やスタッフ、俳優がそもそも映画業界志望であって一般映画への憧憬が強かった事などから性描写に力点を置きつつも、一般映画としての質を望む事も多かった。
このため、欧米のポルノ映画ではあまり省みられない映画としての評価と、性描写や女優の美貌などポルノとしてのクオリティが共存する日本独特の物となった。
ピンク映画は低予算、早撮りを特徴としており、一般的な作品の場合300万円程度の予算で撮影期間は3日ほど。従って、多くの場合には二晩徹夜で撮影をし続ける。かつては専用スタジオを用いた撮影も一部で行われていたが、一般的にはオールロケが主流である。限られた予算の補助のために、ロケとして用いられたホテルや飲食店のクレジットを映画の内部に表示するなど、苦心の策も用いられたという。
ピンク映画の作風は作家も影響するが、それ以上に影響が強いのが会社側の要求である。一般的に作家側は芸術的・映画的な作風を望むのに対し、会社側は性描写など
ポルノとしてのクオリティを望む事が多い。このぶつかり合いの中で作品が生まれると言ってよい。
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