ヒストンは大きく5種類に(H1, H2A, H2B, H3, H4)にわけられる。このうち、H2A、H2B、H3、H4の4種は、
コアヒストンと呼ばれ、それぞれ二分子があつまりヒストン八量体(ヒストンオクタマー)を形成する(図1)。一つのヒストンオクタマーは、約 146 bp の DNA を左巻きに約1.65回巻き付ける。この構造は
ヌクレオソームと呼ばれ、クロマチン構造の最小単位である。H1 は
リンカーヒストンと呼ばれ、ヌクレオソーム間の DNA に結合する。4種のコアヒストンは細胞内に等量存在するが、H1はこれらの半分以下であるしか存在しない
[『ヴォート生化学第2版』p982]。これはH1が各ヌクレオソームに1分子しか結合しないからである。
DNA とヒストンの複合体は
転写に対して阻害的に働く。
転写が活性な
遺伝子座の染色体では、ヌクレオソームが緩んだり、ヒストンが解離していることが知られている。それらの部位は
ヌクレアーゼ(DNA分解酵素)に対する感受性が高くなっている。コアヒストンの分子量は、リンカーヒストンに比べて小さい(表)。
有核赤血球には H1 の代わりに H5 が用いられ、脊椎動物の
精子ではヒストンが修飾を受けて、よりコンパクトになった
プロタミンが用いられる。ヌクレオソームヒストンは
進化的に非常に強く保存されており、いずれの
アミノ酸に
突然変異が起こっても、致死または強い異常の原因となる。特に H3 と H4 は最も保存されている。H1 ヒストンはこれらに比べると多様性が大きい。
ヒストンは強い塩基性のタンパク質であり、酸性の DNA との高い親和性を示す。ヒストンが塩基性を持つのは、正の電荷を持つアミノ酸の含量が高いからである。各ヒストンを構成するアミノ酸のうち、20%以上が
リシンまたは
アルギニンである(表)。ヌクレオソームヒストンの構造は球形のカルボキシル末端と、直鎖状のアミノ末端(ヒストンテール)からなっている。ヒストンテールの
リジンや
アスパラギン残基はアセチル化、メチル化、リン酸化、ユビキチン化といった化学修飾を受けることが知られている。例えば、細胞分裂の際には、ヒストンH3の10番目に位置するセリンが特異的にリン酸化される。このセリンは酵母からヒトまで多くの動物種で保存されている。これらの化学修飾は、遺伝子発現等、数々のクロマチン機能の制御に関わっていることが証明されつつある。複数の修飾の組み合わせがそれぞれ特異的な機能を引き出すという仮説は、ヒストンコード仮説と呼ばれている。