ローカーヤタ Lokayata(順世派)
[後世チャールヴァーカCarvakaと呼ばれた、唯物論および快楽至上主義の説を奉ずる学派。]の祖となった自由思想家
アジタ・ケーサカンバリン(Ajita Kesakambalin、阿耆多翅舎欽婆羅)は唯物論者として知られ、万物は
地・
水・
火・
風の4元素から成るとする四元素還元説を唱えたが、パクダ・カッチャーヤナはこれら物質的元素に
苦・
楽・
命を加えた七要素説を唱えた。「苦」と「楽」は感覚、「命」は生命のはたらきであり、7つの要素
[カッチャーヤナは、それぞれの要素をカーヤ(kaya、「肉体」)と呼んでいる。]それぞれは互いに他に対して何の影響もあたえず、また受けないのであり、その点で絶対的で永続的なものであると説いた。
カッチャーヤナによれば、7つの要素は、作られたものではなく、作らせられたものではなく、また、何かを作るものでもない。また、不変不動で、直立しており、動揺することなく、他を害することもなく、互いの苦楽のためにもならない。そこには、殺す者も殺される者もなく、学ぶ者も教える者もいない。たとえ、鋭利な
剣によって頭を断ち切ったとしても、誰かが誰かの命を奪うということにはならない。それは単に、7要素の間隙、諸要素間の裂け目に剣先が落ちるにすぎない。カッチャーヤナはこのように述べて絶対的な実体論を主張し、これを敷衍して、ひとつの行為に善悪の区別はないという見解を示した。これはまた、人間には何の力もなく、
精進による
解脱を望んでも無駄だという認識を含んでいる。