エントロピー wikipedia|無料辞書
エントロピー (
entropy) は、
物質や
熱の
拡散の程度を表すパラメーターである
[いくつか例を挙げる。分子が自由に動き回る気体は、分子が結晶格子に束縛されている固体よりも、エントロピーが大きい。砂糖を水に溶かして水溶液中で拡散させると、砂糖のエントロピーが大きくなる。]
しかし、本が本棚に並んでいるのと床に散らばっているのとではエントロピーは変わらない。どのような本の並び方(巻数順に並べるか、大きさ順にするかなど)はどちらが乱雑かということは議論できないからである。一般に、エントロピーが乱雑さを表すというのは、原子・分子のレベルでの話であり、我々の暮らしている大きさの世界の話と混同してはならない。。はじめは
熱力学の研究対象であったが、研究が進むにつれ、物質から得られる
情報に関係があることが指摘され、
情報理論にも応用されるようになった。
◆ 熱力学におけるエントロピー
◇ 定義
適当に状態Oの時の初期値
S(O)を定めておく。状態Oから状態Aまで、
可逆の経路
C を辿って移った時、状態Aのエントロピー
S(A)を
:
(
Q: 系が受け取る
熱量、
T: 系の
温度)
と定義する。
◇ 導出
独立変数として系の温度
Tともう一つ他の
状態量をとることとする。
:
(
Qi: 系が
熱源iから受け取る熱量、
Ti: 熱源
iの温度、なお可逆サイクルであるため
Tiは熱源
iから熱を受け取る時の系の温度に等しい)
である。これよりn→∞とすると、
:
が導ける。
つまり、前述の通りと定義すると、S(A)は過程Cに依存しない状態量となる。
◇ エントロピー増大則
状態Aから状態Bへと移る任意の過程Xと、可逆過程Cを考え、C-1をCの逆過程とする。この時XとC-1を連結させた過程はサイクルとなる。
このサイクルについて、導出と同様にクラウジウスの不等式からが導ける(Te: 熱源の温度、一般に系の温度と一致しないことに注意)。つまり、である。
この時C-1の過程中においては、この過程は可逆過程であるから、熱源の温度Teは系の温度Tに一致する。従って
:
、つまり
:
となる。ところが、
:
であるために、
:
となる。
これより、特に断熱系(外から仕事が加えられても良い)においては
なので、
という結果が求められる。このことを指して
エントロピー増大則という。
熱力学第二法則と同値なクラウジウスの不等式からこれが求められたことにより、
熱力学第一法則が
エネルギー保存則と対応するのになぞらえて熱力学第二法則とエントロピー増大則を対応させることもある。なお、熱の出入りがある系ではエントロピーが減少することも当然起こり得る(先の解説において
が十分小さい場合がその例である)。
◇ 性質
エントロピーは物や熱の属性で、それらに対する
拡散の程度を表す示量性状態量である。
エントロピーが増加するために、熱エネルギーのすべてを他のエネルギーに変換することはできない。したがって、熱エネルギーは低品質のエネルギーとも呼ばれる。
化学反応や電場・磁場等の影響がない時、熱力学第一法則より
(
U: 系の
内部エネルギー、
Q: 系に与えた熱量、
W:系に与えられた仕事)と表すことができる。平衡状態であれば、
(
P: 系の圧力、
V: 系の体積)であることと、エントロピーの定義を変形した
より、
:
と、内部エネルギーを完全微分の形で表すことができる。
◆ 統計力学におけるエントロピー
熱平衡状態に達した孤立系の取りうる微視的状態数を
Ωとして、
ボルツマン定数を
kBとした時、エントロピー
Sは
:
で表される。
また、
等確率の原理より、ある微視的状態をとる確率
Pは
を満たすことから、
:
と表すこともできる。
◆ ブラックホールにおけるエントロピー
:
◆ 生物学におけるエントロピー