エンジニアリングプラスチック wikipedia|無料辞書
エンジニアリングプラスチックとは、
合成樹脂(プラスチック素材・
熱可塑性樹脂)のなかで、所定の目的に添った機能(主に
耐熱性)を強化してあるものである。
◆概要
これらは、その目的に添った様々な機能が強化された合成樹脂製品の
素材総称だが、種類にもよって向き・不向きがあり、様々に使い分けられている。
主な改良点では
耐熱性が挙げられる。従来よりプラスチックは
可塑性に優れ加工し易いという利点があるが、これが同時に「
摩擦によって熱が発生したり
環境温度が高くても可塑性を発揮する」ことになり、特にプラスチック製の
部品(
機械要素)では精度に狂いが生じたり、あるいは破損してしまうことに繋がる。低温下でも部品強度が低下する。また他にも、
硬度や対磨耗性は
金属に比べ総じて低く、
錆がでること(
酸化)こそしないが強い
紫外線を含む
太陽光や風雨に曝される過酷な環境下では劣化(
風化)してしまったり、
油脂を含む所定の
溶剤に曝された場合にも劣化してしまうため、こういった問題点に各々(またはその幾つかの面で)強いエンジニアリングプラスチックが開発・利用されている。
一概に「エンジニアリングプラスチック」といっても、その全てにおいて高機能というわけではなく、また単一の素材でもない訳だが、これと同時に機能付与によってプラスチック一般に比べると素材の値段も割高であるほか、
加工に必要な
コストも割高となる傾向がある。このため、全てのプラスチックを置き換えるような、安価で加工し易く高性能なエンジニアリングプラスチックは存在しない。また
比重もエンジニアリングプラスチックはプラスチック一般に比べ大きめである。ただし素材に強度があるため、構造自体を細く薄くするなどして、製品自体は軽量化できる余地はある。
こういったプラスチックは、1970年代に工業生産が可能になり、1980年代を通して様々な物品(その一部は
チョロQのような
玩具にも)に利用されるようになり、その後も改良と新素材の市場投入が続けられている。
◇呼称・分類に関して
エンジニアリングプラスチックは俗に
エンプラないし
汎用エンプラ(はんようエンプラ)と略されることもあるが、その更に上を行く機能を付加したものを
スーパー・エンプラと呼ぶ。後者の呼び名はエンジニアリングプラスチック素材との
差別化を図る上での商業戦略的な分類呼称といった側面もあるが、主に耐熱温度(後述)によるもので、エンプラは「100度(単位:
摂氏)以上に耐えるもの」で、スーパー・エンプラが「150度以上で長期間耐えるもの」となっている。
なお汎用エンジニアリングプラスチックが旧来のプラスチック同様にその多くが非
結晶性樹脂であるのに対して、スーパーエンジニアリングプラスチックではその多くが
結晶性樹脂という違いも見られる。ただしその双方に例外があるため、一概に結晶性樹脂/非結晶性樹脂という区分では別けられない。
なお結晶性樹脂は非結晶性樹脂と比較して、
融点未満では硬度が変化しない性質を持つ。非結晶性樹脂は融点に近づくほど硬度が下がり、両者ともに融点を越えた時点で熔融(熱で溶けること)する。この他、結晶性樹脂は非結晶性樹脂に比べ溶剤への耐性が強い。ただし着色性(→
塗料/
塗装)という点では非結晶性樹脂のほうが良く、結晶性樹脂は着色の必要が無い機械部品に向いている。
◆用途
エンジニアリングプラスチックのうち、汎用エンジニアリングプラスチックの多くは
家電製品内部の機械部品(
歯車や
軸受けなど)に多用されている。これらは磨耗が少なく軽量で、かつ金属部品よりも
大量生産にも向くため、製品価格を押し下げる原動力ともなっており、家電製品普及の大きな一助ともなっている。
また微細で十分な強度を持つ部品を製造できる面で、装置の小型化にも役立っており、
携帯機器にはこのエンジニアリングプラスチックで小型化が進んだものも少なくない。
◆分類
◇エンジニアリングプラスチック
耐熱温度は100
℃以上で、
強度500
kgf/cm
2未満・
曲げ弾性率24000kg/cm
2未満である。
・5大汎用エンプラ
・その他
など
◇スーパーエンジニアリングプラスチック
耐熱温度は150℃以上で長期間使用できる性質が強い。また
溶剤に対して高い耐性を示すものが多い。
など
◆関連項目
◆外部リンク